第111話

「おい。」



その声に反応を見せず、砦の横を通り過ぎる時にぼぞっと口を開いた。





「………譲ったんだから、そう簡単に離してんじゃねーよ。」



その言葉だけで全てを理解した砦は一度だけ振り返って、修誠の背中を見つめる。



しかし修誠は一度も修誠を振り返らず、この裏道から姿を消した。






……アイツ、少しは俺のこと心配してくれてんのか?



と一瞬思った砦だったが、すぐにその考えは改まる。



―――…いや、紗綾を心配してるだけか。



そう考え直した彼は、とりあえず目の前にいる男に視線を戻す。





どうするか、この男。



蘭勝の『渡瀬家』にいる長女の子供・堺一という情報を幸村からもらっていた砦。




―――…つーことは、俺の従兄弟じゃねーか。

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