第34話
その事実が悲しくて、少しだけ目を伏せた時、まだその場にいた男が口を開いた。
「僕は黒木。ここでは“ダディ”で通ってる。」
「……テメエの名前なんて、知ったこっちゃねえ。」
「言っただろう?大稀。……君達はここに入った以上、ここの仕来りに従ってもらわないといけない。」
“それに君達には既に退路なんてものはないからね”
大稀はダディと呼ばれた彼を睨んでから、すぐに目を逸らす。
俺と大稀がここで暮らすことになってしまった、最悪の夜が始まろうとしていた。
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