第33話

大稀は近くにあった本を男に投げつけるけど、いとも簡単に避ける彼を見てさらに怒りを露わにする。



このままでは埒が明かないと思った俺は、大稀の名前を呼ぶ。





「大稀……」



「か、景親!?」



俺のその声が大稀に届いたのか、その男と対峙していた彼はすぐに俺の横たわっていたベッドに駆け寄ってきた。



「大丈夫か?」



「う、うん。」



返答を聞いた途端に安心したのか頬を緩める彼を見て、俺も安心した。



―――…つくづく思う。



大稀は怒っている顔も嫌いではないけど、笑っている顔の方が似合っていると。





それでも俺達を守るために彼はいつも何かしらで笑うことが少なくなった。



……俺が、彼から笑顔を奪った。

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