第9話

口が寂しくなったのか何か口に含もうとポケットを探り始めた彼は、それよりも先に口を開く。



「千歳。本郷サン、送ってやれ。」



「僕がかいな?」



「お前、同じ家だろ。」



「如何わしい言い方せんといてくれる?……前から視線、痛いから。」



砦とランカさんは千歳さんに強い視線……というか、強く睨みつけているのがここからでも見える。



……可哀想な、千歳さん。




「いいから、早く行け。」



“砦はバイクで、蘭サンは車運転は危ないからお前以外いねえんだよ”



納得のいく説明をされた所為か、折れた千歳さんは後部座席を開けてくれた。




「どうぞ、花子ちゃん。」



「嫌ならいいんですよ、別に。」



「嫌ではないんよー。……ただ、車内二人きりっていうシュチュにちょっと不安がねー。」

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