第9話
結局
上の階も造りが同じなので来た意味がなかった
摺りガラス前の部屋と
広告チラシが突っ込まれた部屋の2つ
十中八九
上の階も全て同じだろう
これら一つ一つチャイムを鳴らして調べるのも
馬鹿げていたので
しばらく廊下をうろうろした後
一度
一階の受付まで降りる事にした
全く散々な一日だ
貴重な時間と交通費が無駄になった
帰って何をするか考えながら
ひたすら薄暗い非常階段を下りていく
響く足音が無粋で激しくなっていき
腹の底が
ふつふつと煮え滾ってくるのが分かる
この握りこぶしを
どこかにぶつけたくてたまらない
どうせ階段なんか利用者も少ないと思い
舌打ちと唸り声を漏らし
下る速度を速め段下を勢いよく飛び降りていく
それにしても
いつまで階段が続くのか
もうそろそろ
一階に到着してもいい頃だ
何かおかしい
足を止めると反響も同時に止んだ
重苦しい壁と淀んだ冷たい空気から
逃れるように
私は非常口から廊下へ飛び出した
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