第10話

予想はしていたが 

また同じ構造の階だ 


何階か表記していてもいいはずなのに

手抜きでもしているのか 


そもそもマンションの住人に 

まだ一度も会っていない

さすがに妙だ 


仕事で留守といえば説明がつく 

皆揃って広告が何日分もたまるほど 

忙しいのだろうか 


と 

私は先程 

不可思議な現象に遭遇していた事に気付き 

背筋が寒くなってきた 


確認の為に

この階のエレベーター側の部屋へ走って向かう 


やはり 

上の階と同じく 

広告が突っ込まれている部屋が 

あるだけ

 

上の階と同じく 

広告が入っている...... 


非常階段側には 

入ってなかった 

今も 

上の階も

その上の階でも...... 


私は広告チラシの一番上に目をやった 

 

婦人服を着たモデル 

その下には新聞 

同じ傾き 

半分程の投入具合

 

チラシ配りが 

余程、器用でなければ 

上の階と 

まったく同じ角度に広告が入ってる訳がない 


つまり 

ありえない話なのだが 

さっきから私は 

階段を上り下りしているにも関わらず 

同じ内廊下を 

行ったり来たり

繰り返している

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