第7話

最初 

階指定ボタンを押し忘れたのかと思い 

エレベーターに戻りかけたが 

指定の会場がある別の階なのではと

自分に言い聞かせ 

同じ構造の内廊下を進む

 

同じ構造...... 


まったくその通りだ 

手前の部屋には 

広告チラシが同じ角度 

同じぐらいの厚い束で 

ポストに突っ込まれていた


うる覚えだが 

一番下が新聞で

上の広告には 

モデルが婦人服を着けた写真


やはり

時間に焦っていたのだろう

エレベーターを動かしたつもりだったようだ


ドア前でしばらく硬直していた私は 

エレベーターまで急いだ


さすがに遅刻だ 

第一印象が悪いと

次回の調査応募に当選しない 


会場アンケート調査は

そこそこ小遣い稼ぎになるので

せめて時間は守りたい 


開閉ボタンを連打で叩き  

開く合間に滑り込み 

中でも連打する 


やけに 

かったるく閉まるドアを 

強く凝視し 

起動中も 

指先を小刻みに揺する


ドアが開くと

やはり

同じ内廊下だった

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