第6話

チャイムを鳴らすのが非常に躊躇ってしまう 

もし 

違っていたら 

住人に説明するのが厄介だ


時間が気になり  

メールを確認すると 

圏外でネット通信ができなくなっていた 

 

大都心ではありえない為 

通信障害を疑い 

仕方なく時間だけ確認する 


時計は0時00分と 

初期設定に戻っていた  


どうやら 

スマホが寿命間近らしい 

 

悪態を漏らし

仕方なくチャイムを鳴らし

待ってみるが一向に反応しない

さっきの部屋前に戻っても 

同じ結果だった 

通信も回復する気配がない


メールを見返し

見逃しがないか確認し 

もしかしたら

右側のエレベーターというのは 

受付側から見て

右ではないかと考え

一旦

受付に引き返す事にした


エレベーターは降りてから動いてないので 

すぐにドアが開き 

中から唯一のボタンを押す


普通は上と下

最低二つの階指定ボタンがあるはずなので 

この一つボタンの仕組みが 

とても奇妙だ

 

私はドアが閉まる寸前まで

広告が刺さった部屋の廊下を 

何気に眺めていた 

起動による振動が身体に伝わる 

 

静かな室内な為 

モーター音が細部まで耳に入り 

しばらく続く


ドアが開き飛び出すと 

そこは 

同じ構造の 

マンションフロアだった

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