第5話
丁度よい加減の照明が
相変わらず綺麗なモルタル壁と
床タイルの艶を際立たせている
数歩先の
住居部屋らしきドアの前で足を止め
表札を探すが何処にも貼っておらず
ドア下のポスト入れには
広告チラシが束になって
突っ込まれてあった
上層階がマンションなのは理解したが
住居スペースで会場アンケート調査というのは
奇妙な話だ
内廊下がすぐに直角に曲がっていて
消火器の設置された壁上では
録画カメラが
ドア前の私をじっと映している
私は、わざと
困っている素振りをし
怪しくないのだとアピールした
集合時間が迫る
私は早歩きで角を曲がり
行き止まり前の
もうひとつの部屋に到着した
こちらも同様に表札がなく
会場なのか判断がつかない
ただ
さっきの様にチラシが刺さっていないので
この部屋だという可能性が高い
例によって角の天井にはカメラが備わっていた
小さな、すりガラス窓の向こう側が夜の様に暗いのは
隣ビルの壁が密着しているからだろう
更に曲がり角になっているのに気づくが
非常階段の標識が吊るされているので
一つの階に部屋は二つ
その
どちらかという事になる
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