第2話
日差し遮るビルの店舗は
どこもシャッターが閉まり
電柱すれすれに違法駐車の軽トラック
古い壁に備わるボイラーの音が
とても耳障りだ
2台までのコインパーキング手前に
場末通りに不釣り合いな
ゴシックデザインのビルが
高らかにそびえていた
両隣の汚いビルに比べ
窓周りの壁の清掃が行き届き
光沢を放つ
タイル張りの外壁の花壇には
丸く刈り込まれた
イヌツゲの低木が植えられ
その上の銘板を確認すると
目的地である
ビルの名称が英文字で記されていた
段差を上り
ガラスの両開きドアを
ゆっくり押しながら入ると
無人の玄関ホールに漂う冷房が
衣服の内部まで染み渡ってきた
中央を支える4本の柱同様
大理石の床は
私の歩く姿を反射するほど磨かれ
トイレとは逆の壁際に
いくつか置かれたパキラの木も
とてもみずみずしい
受付カウンター越しには
案内係の椅子が二つあるが
どちらもぴったりデスクに
収まっている
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