第10話
実はレダには、この新しく宿屋に入店した客については見覚えがあった
で、瞬間的な判断
「敵に回すと至極危険極まりない相手」と、本能から来る警戒心が一気に高まった
『もしや残党狩り、昔の賊の手がかりを追ってかしら?
それともまさかーーーー
マサカマサカマサカ
”今の私の仕事”が
どこからかバレたって、事は無いわよね……』
様々な疑惑がレダの脳内をぐるぐると駆け巡る
『イイヤ決してバレてはいまい
証拠なんかない
ここは一つ、覚悟を決めて堂々と振る舞うことが得策かしら』
レダは
「敢えて知らない振りを決め込む」
つまり「知らぬ存ぜぬ」
ド定番のしらばっくれ方法だがそれが最適解、自身の身の為だと咄嗟に決断する
「ーーーおい、丘の上の大豪邸、お屋敷に住むお貴族様。
〜レオ伯爵家のお坊ちゃまだよ」
「ぁあそうだよなーーー
それに見ろよあの赤と金と白の制服っ!!」
「おい、胸と背中の吼える金モールの獅子の刺繍、この町を警護するリオン騎士団の印だぜ?」
「胸から肩口に立派な飾り緒をしているということは、上級騎士
〜あんなに若くたって騎士団大幹部だぜよ?」
「なんでどうして寄りにもよって
真面目な商売やってるウチのマダムに話があるんだ?」
ザワザワザワーーーーー
大波小波、次々にコソコソと、持ちネタ「噂」を披露し始める小声達
気分が漸く落ちついたとおぼしき客達が本領発揮の活動を開始したのだ
自称情報通・訳知り顔の説得力溢れる会話がそこかしこに沸き起こり始める
皆、押すに押されぬ大貴族の子弟、正規のホンモノの騎士登場を疑問に思っているのが察せられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます