第9話

そんなこんなの「お客にとっては楽しい話題」


宿屋中の客が「余計なお世話」なレダのお婿さん


未来の、公私にわたって彼女と共にレダ亭を共に盛り上げる素敵な結婚相手をさかなに、果てしなきどんちゃん騒ぎを繰り広げている正にその時だった



カランカランカラン……

扉の上方に取りつけられたベルが鳴る


「いらっしゃいませ」



レダはキラキラのスマイルと共に振り向き


店内に新たに入って来た客をチラッと見て、元の姿勢に戻る


「あ!」


ーーー再び視線が自然に上にあがった




他の客も大差なく、ギョギョッと思わず二度見をした様子だった


「ここの『レダ』という名前の女将、マダムは何処にて、いらっしゃいますか?」



張りのある良く通る声が、草原を渡る爽やかな風の如く場を圧した




シーーーーーンーーーー




不気味な威圧感


誰ひとり動くことも無い、しわぶき一つ起きない、沈黙の帳が降りた。



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