第8話

レダに対して「結婚推奨」を強靱に、口角つばを飛ばして大仰にガツガツ声高に力説する彼等の言い分はこうだ。



「もうレダくらいの年頃の女性には必ず結婚を約束した恋人、もしくはフィアンセがいる」

「なのに一人もいないだなんてアリエナイ」


「『出会いがない』と云うならば

自分が一肌脱ぎ、親類縁者から良さげな人を探してきて上げようか?」

 

ーーー恐怖である




或いは〜


①「ウチの隣のお嬢さんは、既に目出度く結婚をして、子どもまで居るんだよ?」


②「殆ど16までに、この国の女の子は結婚するんだよ?」


③「マゴマゴして婚期を逃し、行き遅れてもいいっていうのかい?」


この鉄板の三段論法で、グイグイクルわクルわクルわ……


しかし、一応は大好きなレダちゃんに対してのあくまでも善意から来る真面目な心配がベースである



で、この意見に猛烈に抗議する反対派の言い分はと言うと


「こちらもこちら」

ーーーいささか難有りだった



「レダちゃんは何もつまらない男と慌てて結婚ではなくて、とびきりの大物狙いでジックリ行けばいい」


けれど、こちらもレダにすれば苦笑するしかない



結局どちらの言い分も

「結婚するのが当然」



宿屋経営という『客商売故』


「よけーなお世話ですぅッッ!!」


声を大にし、本音がバシッと言えないレダだった


フゥッと密かに溜息をつくばかり


極秘の影のお仕事がオシゴト故にそんなに簡単に誰かとヒョイヒョイお付き合いなんぞ無謀の極み。


ましてやプライベートシーンでの人目が激増、生活に重大な責任が伴う婚姻は現実的では無い。


無理としか思えないのだ。



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