第5話

「お嬢様…姫様」

「?!」


一瞬で優しい〜

レダの、旅館の新しい看板マダムとしての笑顔がガラリ別の物に変化する



誰にも見せない、キリリと厳しい凜とした表情だ


昏い気配は、囁く声ーーー


尚も切れ間無く言葉を放つ


「〜〜お嬢様、こんな所にいらっしゃったんですか?!

よくぞご無事で……

『レダ』様」


「しッッ!

そんな皮肉はいい


彼等は私の本当の名前も家柄も知らないから黙って

〜彼等に手出しはまかり成らぬ」


レダの眉頭がギュッとしかめられる



「ーー……心得ました、姫様の仰ることでしたら」


「で?用向きは?」


「〜『あの後』

森のアジトへの総攻撃後

お頭諸共


鉄の絆の盗賊団主力の男全員が、王家の送った軍隊に殺されてから


僅かに生き残った我らは四方八方に散らばりました」



「そうだったな」



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