第88話

「喜んでもらえて良かったです」


「大切にしますね、カワウソくん」


「ありがとうございます。 では、気を付けてくださいね、カルティナ姫」

 

 わたしはカルナさんに見送られながら、自宅へと戻る。


「ただいま帰りました」


「おかえりなさいませ、姫様」


 家の門を開けると、マロミさんがわたしを出迎えてくれる。


「ただいま、マロミさん」


「今日のデートは、いかがでしたか?」


 マロミさんは植物にホースで水を掛けながら、そう聞いてくる。


「楽しかったよ、今日は動物園に行ったの」


「動物園ですか。楽しそうですね」


「すごく癒やされたわ。 たまにはいいわね、こういうのも」


 動物園なんてめったに行かないけど、たまに行くと本当に楽しい。

 大好きな動物たちをたくさん見られて、すごく良かった。孔雀もかっこよかったし、コグマも可愛いかった。


「可愛いらしいキーホルダーですね、姫様」


「あ、これ? カルナさんからのプレゼントなの。今日のお礼だって」


 カルナさんは本当に律儀な人なの。いつも何かをくれるし、優しい人なの。

 

「まあ、お優しいんですね。婚約者様は」

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