第83話

「は、はい。すみません……」

 

 やだ、わたしったら……。また躓いてしまった……。


「おケガがなくて、良かったです」


「ほ、本当にすみませんっ」


「いいえ、無事で良かったです」


 優しい笑みをくれるルイトさんに、わたしはなんだか胸がトキめいた。


「……あ、あのっ。もう、大丈夫……です」


 ずっと支えてもらっていたから、なんだか申し訳ない。


「あ、そうですね。すみません」


「い、いえっ」


 支えてもらっていたことで、ルイトさんの顔が近くにあった。 それでものすごくドキドキしたのは、ルイトさんには内緒だ。

 そんなこと、恥ずかしくて言えそうにない。


「さ、帰りましょうか、カルティナ姫」


「は、はいっ」


 はぁ……未だにものすごくドキドキしている。

 ルイトさんは優しくて紳士的だから、他の人にも優しいのではないか、なんて思っている。


「姫、今日は楽しかったですね」


「はい。とても楽しかったです」


 ルイトさんはとても楽しそうに遊んでいた。

 そんなルイトさんといると、わたしも明るい気分になれる。 きっとこれからも、楽しいだろうなって思える。

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