第61話

「マロミさん、こっちのセッティングも終わったわ」 


「ありがとうございます」


 食事会の準備でテーブルのセッティングを終えたわたしは、マロミさんの手伝いで料理の手伝いもした。


「食事の用意も手伝うわね」


「ありがとうございます」


 広々としたキッチンで料理の支度をするマロミさんに、わたしは「あの、マロミさん。わたしね、作りたいものがあるんだけど……」と声をかける。


「作りたいもの、ですか?」


「うん。 チーズケーキを作りたいのだけど」


「チーズケーキ?」


 カルナさんがチーズケーキが好きだと言っていたのを思い出したわたしは、カルナさんやみんなのためにチーズケーキを作りたいと思った。

 少しでも喜んでもらいたくて、挑戦してみたいと思った。


「うん。婚約者の一人が、チーズケーキが好きみたいで……作ってあげたいなって思って」


「そうですか。 姫は優しいのですね」


 マロミさんは玉ねぎをみじん切りにしながら、嬉しそうに微笑んでいた。  


「そ、そう……かな?」


「ええ。婚約者様のために好物を作ってあげたいなんて、素敵なことですよ? さすが姫ですね」

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