第57話

「恐れ入ります」


「ねぇマロミさん、明後日あの三人と食事会をするんだけど……。今日みたいに美味しいパンを焼いてくれないかしら?」


 マロミさんのパンは、どこぞのパン屋さんにも負けないくらい美味しいパンだから、自慢出来る。

 三人にも食べさせてあげたいなって思った。


「ええ、構いませんよ。わたしみたいなので良ければ、焼いて差し上げますよ?」


「本当に? ありがとう、マロミさん」


 マロミさんって本当に優しいし、親しみがあるな。 マロミさんにはいつも感謝している。

 わたしの部屋もキレイに掃除してくれるから、いつもキレイで。


 それにわたしの部屋から見える、大きな桜の木のお世話もしてくれるから、春になるとキレイな桜が咲くのがものすごく楽しみなんだ。


 これが出来るのも、マロミさんのおかげだ。

 マロミさんがいないと、わたしたちは何も出来ないみたい。


「すまないね、マロミさん」


 とお父様が伝えると、マロミさんは「いいえ。婚約者様との大事な食事会とあらば、このマロミの腕の見せ所ですし。全力で頑張らせて頂きます」と明るく言ってくれる。


 さすがマロミさん、ありがとう!

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