第51話

「ただいま、お父様」


「おぉ、おかえりカルティナ」


「あら?今日はお父様、遅くなるんじゃなかったの?」


 アレンさんとのデート?の日の夕方、お父様は予定よりも早く家に帰ってきていた。

 

「その予定だったんだが、急遽予定が取り消されてしまってね」


「そうだったの」


 お父様は今日出かけると行っていたから、てっきりもういないと思ったよ。


「カルティナはどうだったんだ? 今日はアレンくんとのデートだったんだろ?」


「いや、デートって程でもないけど……」


 でもアレンさんは、とても優しい人だった。わたしに優しく接してくれて、わたしのことをたくさん聞いてくれた。


「楽しかったのか?」


「う、うん。楽しかったよ」


 美味しいミートパイも食べられたし、ヨーラ国出身のアレンにとっては、あのミートパイが母国の味だっていうことも知れたし。

 それにアレンさんと話していると、なんだかホッとする気もした。


 ーーーそして思い出す。

 

「なのでカルティナ姫」


「は、はいっ……?」


 アレンさんはわたしの右手を取ると、目の前でひざまずいたのだった。

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