第49話

「そうだったんですか。……だからこの味、どうりで懐かしいと思いました」


「ヨーラ国はミートパイが有名だから、その味をいつでも食べてもらいたいなと思って。それでミートパイを売り出したのがきっかけなの」


 そうだったんだ……。ヨーラ国の、母国の味をたくさんの人に食べてもらいたいから、ここにお店を開いたんだ。  

 

「まさかヨーラ国の出身の人がいるなんて、驚いたわ! でも嬉しいわ。ヨーラ国の美味しいミートパイを、こんな風に食べてもらえて」


 店員さんが嬉しそうに喜んでくれるから、わたしもなんか嬉しかった。

 

「それにしても、本当に美味しいです。……この味です、この味」


「フフフ……。喜んでもらえて良かった」


 アレンさんのこんな嬉しそうな表情を見たのは、初めてだった。

 よっぽど嬉しかったのか、アレンさんはあっと言う間にパイを完食してしまった。


「ごちそうさまでした」


「美味しかったです」


「ありがとうございました〜」


 アレンさんはミートパイを二人にもお土産だと言って、買って帰ることにしたそうだ。

 二人にもヨーラ国の味を食べてもらいたい、からと。

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