第48話

アレンさんは嬉しそうに微笑んでいる。


「では、一口」


 アレンさんはミートパイを一口、口に頬張った。


「ん……!?」


 すると、パイを一口食べたアレンさんの表情が変わった。


「……どう、ですか?」


 と恐る恐る聞いてみると、アレンさんは「美味しいです。……なんだか懐かしい、味がします」と言っていた。


「懐かしい……味ですか?」


「はい。ヨーラ国で食べるミートパイの味と、どこか似ています。 なんていうか、すごく食べ馴染みのある味というか……」


 アレンさんの表情は、とても驚いているように見える。


「あなたもしかして、ヨーラ国の出身なの?」


 するとそこにいた女性の店員さんが、アレンさんに向かってそう言い出した。


「え?……あ、はい。そうですが?」


「やっぱりそうなんだ! わたしもね、ヨーラ国の出身なのよ!」


「えっ、そうなんですか!?」


 その言葉に、わたしもアレンさんも驚いてしまった。


「そうだったんですか。 あなたも、ヨーラ国の出身なんですか」


「はい。わたしも今の旦那と結婚して、レイリア王国に来たのよ」


 と、店員さんは嬉しそうに言った。

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