第43話

二人でバスに乗り込むと、隣同士並んで座って目的地を目指す。


「姫、お店までは後どのくらいですか?」


「そうですね。……後十分くらいですかね?」


「そうですか」


 アレンさんはバスの中でも、やはり目立っている。 同じバスに乗っている子たちは、アレンさんを見ながら何かヒソヒソと話をしている。

 アレンさんのことばかり、視線に入るのだろう。


「カルティナ姫は、確かご兄弟はいらっしゃるんですよね?」

 

 今度はアレンさんから、そう問いかけられる。


「はい、六個上の兄がいます。 兄はプロの音楽家で、世界中飛び回ってコンサートをしたり色んな所で演奏をしています」


 兄は忙しくて滅多にレイリア王国に帰ってこないから、もう何年も会っていないけど、兄の活躍は度々新聞や記事で見かけることがある。


「へぇ。音楽家さんなんですか」


「はい、プロのピアニストなんです。たまにオーケストラとコラボして、演奏したりもしています」


 わたしにとって兄は、とても自慢出来る人だ。兄はわたしたち家族にとって誇りで、とても優秀な人だ。

 お父様も兄のことは、すごく認めている。

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