第37話

「今日は風が強いですね、姫」


「そ、そうですね」


「でもカルティナ姫からは、すごくいいニオイがします」


 アレンさんはそう言いながら、ニコリと笑っていた。

 

「えっ!? そ、そうですか?」


 いきなりそんなことを言われたものだから、わたしは驚いてしまった。


「はい。甘くて爽やかな香りがします」


「そ、そうですか……?」

  

 いいニオイがすると言われたのは初めてだから、どんな反応したらいいのか分からない。


「カルティナ姫の香り、好きです」


「へっ!?」


 かと思ったら今度は【好き】と言われてしまい、再び困惑してしまうわたしであった。


「僕は今日一日、あなたが幸せな気持ちになれるように努力致します。 なのでやりたいこととか、したみたいこととかあれば、何でも言ってくださいね」


「……は、はい」


 アレンさんは今日一日、わたしのために時間を使ってくれるとのことで、わたしがしたいことを叶えてくれると言ってくれた。

 デートの数日前、アレンさんから【カルティナ姫、姫が今やりたいこととかはありますか?】と聞かれたのだけど、その時は特に思い付かなった。

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