第33話

「さすがわたしの娘だ」


「……あの、お父様」


「何だ?」


 わたしはずっと気になっていたことを、お父様に聞いてみることにした。


「お父様は、あの三人のことを詳しいのですか?」


 お父様が選んだ人、ということだけは分かるけれど……。

 あの三人の中から一人を選ばなければならないという状況の中で、わたしには一人だけを選ぶなんて出来るのだろうか……。

 

「詳しいという程ではない。……が、ある程度は調べているよ、もちろん」


「そうなのね」


「みんないい人たちだ。ゆっくり時間をかけて、選ぶといい」


 お父様はそう言うと、部屋へと戻っていった。


「ゆっくり時間をかけて……か」


 わたしはまだ、結婚するつもりはないのだけれど……。ただそれがレイリア王国のルールだということは、わたしにも分かっている。

 だからこそ、幸せになるためにわたしはあの三人の中から一人を選ぶしかない。


 もちろん、レイリア王国にいる他のお姫様たちは、みんな結婚して子供を産んでいる。

 そして家族として、王子や子供たちと幸せになっている人が多い。 わたしもその中の一人になるんだ……。

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