第17話

シアノア……。あ、思い出した……!


「シアノア島……思い出し、ました」


 確かにお父様とわたしは、十一歳の時にシアノア島に旅行に出かけたことがあった。

 確かにその時、シアノア島でわたしは、寂しそうな目をした一人の男の子に出会っていたーーー。


「ルイトさんが、あの時の……。あの日出会った、男の子?」


「そうです。 あなたは落ち込んでいる僕に、可愛らしい笑顔を向けて、キャンディとチョコレートをどうぞとくれたんです」


 そうだ。あの日わたし……。ルイトくんにイチゴ味のキャンディと、チョコレートをあげたんだ。

 悲しそうな顔をしたルイトさんを見て、なんか元気づけてあげたいと思ったんだと思う。


 確かにルイトさんは、表情は笑っているようにも見えた。……でも目は確かに、笑っていなかったかもしれない。

 それは……自分が捨て子だと、知ってしまったからだったんだ。

 その事実を知らなかったわたしは、何て言葉を返したらいいのか、分からなかった。


「その時僕は救われました、あなたの笑顔に。……もしかしたら僕は、あの時からすでにあなたに恋をしてしまっていたのかも、しれません」

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