第18話

そう言われたわたしは、なぜか妙に恥ずかしくなってしまい、俯いた。


「カルティナ姫」


「は、はいっ……」


 そしてルイトさんは、わたしの右手をそっと取ると「そろそろ行きましょう」と言った。


「……あ、はい」


 なんて言えばいいのか分からないけど、なんか不思議になった。  

 十年前にルイトさんと出会っていたという事実もそうだし、今ここにいるルイトさんからの愛の告白も……。不思議と悪い気はしなかった。


「カルティナ姫は、好きな場所とかあるのですか?」


「好きな場所、ですか……?」


「はい。姫がよく行くお気に入りの場所とか、ここが良かったとか」


 そう聞かれると難しいけど、あるにはある。


「ありますよ。 レイリア王国の麓(ふもと)にある山なんですけど、そこから見る景色がとてもキレイで好きなんです」


 小さい頃からよくお父様に連れてってもらった場所で、わたしはそこから見渡せるレイリア王国の風景がとても好きなんだ。

 わたしにとっては、一番のお気に入りの場所。


「そうなんですか。いつか僕も、行ってみたいです」


「……今度、一緒に行きますか?」


「はい。ぜひ」

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