第16話

「カルティナ姫は覚えていないかも、しれませんが……」


 と、ルイトさんは話し始めた。


「……え?」


「十年前、僕はあなたに出会っています」


「十年……前?」


 わたしたちが十年前に会っているって……。一体どういうことだろう?


「はい、僕は当時十二歳でした。 十二歳の僕は、住んでいた故郷で身寄りもなく、故郷にある児童養護施設で育てられていました」


 え……? 児童養護施設で……?


「僕には両親がいません。 僕は捨て子なのです」


「……え?」


 わたしはそこで、ルイトさんの悲しい過去を聞いてしまったーーー。


「僕の両親が誰なのか、僕自身も分かりません。……ただ生まれたばかりの僕は、児童養護施設の前に置き去りにされていた、ということを十二歳になった時に聞きました」


「……そうなんですか」


 まさかルイトさんが捨て子、だったなんて……。

 その事実を聞いたわたしは、何も言えなかったーーー。


「その時です。僕があなたに出会ったのは」


「……え?」


「僕は十二歳になってすぐ、あなたが僕の故郷ではるシアノア島にやってきたのですよ」


 シアノア島……?

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