第二章 婚約者候補①ルイト

第12話

そしてその二日後、三人の王子たち。

 ーーーいや、その日現れたのは、なぜかルイトさんだけだった。


「カルティナ姫、体調はいかがですか?」


「あの……はい、大丈夫です。 今日は、ルイトさんお一人なんですか……?」


 と問いかけると「はい。今日は僕だけです」と答えた。

 

「そう、なんですか」


 いきなり二人きりだと、結構緊張する……。


「姫、歩けますか?」


「……へ?」

 

「少し、近くを散歩しませんか?」


 優しそうな表情でそう聞いてくるルイトさんに、わたしは「は、はい。お散歩、くらいなら……」と答えた。


「では行きましょうか、カルティナ姫」


「……は、はいっ」 

  

 そして手を差し出すルイトさんの手を、わたしはそっと取った。




 二日前の夜、目を覚ましたばかりのわたしに、父は「どうだ? まだ体は痛むか?」と聞いてきた。


「うん、少し。……でも大丈夫よ」


 事故に遭ってからの記憶はほとんどない。 覚えているのは、何かにぶつかったことだけだ。

 気が付いたらわたしは、数週間も眠りについていたそうだ。 命に別状はなかったそうだけど……。

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