第9話

と、カルナさんは微笑みを見せる。


「……あの、皆さんありがとうございます。その、お気持ちはとても嬉しいです」


「カルティナ姫……!」


「でもごめんなさい。……わたしはあなたたちの妻には、相応しくありません。だからこのお話は、聞かなかったことにさせてください」


 わたしがそう言うと、三人はがっくりと肩を落とす。 そして残念そうな表情を見せる。

 わたしはそんな三人に「本当にすみません……。でもわたしは、まだ誰とも結婚する気にはなれません」と再び言葉を漏らした。


「カルティナ姫」


 少しの沈黙の後、名前を呼んだのはカルナさんだった。


「は、はいっ……」


 わたしは一体、何を言われるのだろう……。 

 わたしには、そんな考えばかりが頭に浮かぶ。


「僕たちはあなたが嫌がるようなことは、一切致しません。それは結婚するまで、必ずお約束致します」


「……え?」


 カルナさんは一体、なんのことを言っているのだろう……?


「僕たちは今すぐに結婚相手を決めて欲しいとは、思っていません。少しずつ僕たちとの距離を縮めた上で、きちんと決めて欲しいと思っていますので」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る