第63話

「お前が、ムーンのこと聞いてきたんだろ?ずっと前に」



「えっ?そうだっけ?」



「それっぽいことあった」



確かに、そのネコどうしたの?くらいは聞いたかも知れないけど。


もう話すことないよね?


もういいよね?



「じゃぁ、さようなら」



「駄目だ」



グイッと引かれて、いつの間にかパーカー男の腕の中。



「危険じゃねぇよ」



「えっ?」



パーカー男は、フードを少し上に上げて自分の綺麗な顔を見えるようにする。



「お前、言ったろ?本気で近付こうとするなら、自分も本気だって。その本気、俺もだ」


………………………。



「俺の素顔、柚月達も知らねぇぞ。俺が、いいと思った奴しか見せねぇし」



「コロコロ変わるのね」



「悪いか?それが、俺なんでね」



本気なの?


この男。



「嫌だ。離して」



「知らねぇよ。黙って俺に、抱き締められてろ。じゃないと、ここで犯すぞ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る