第62話

「ねぇ?あなた、自分の居場所はどうなったの?」



「あぁ?あ~っ。あぁ。うん。解決したから」



「解決?」



「あぁ。問題ないみたいだから。いい」



「問題?どんな問題?」



「めんどくせぇ女。いいから。ムーンのこと話すぞ。ムーンは凄いぞ」



なぜか、無理矢理自分の飼い猫のことを話し出す。







ムーンを最初に見たのは今日みたいな天気。


大きめの段ボール入れられていたのは子猫。


パーカー男はいつも通る道だから毎日子猫を見ることになる。


誰が拾ってくれるだろうと思っていた。


でも、鳴く声を聴いても誰にも拾って貰えず衰弱していく。


パーカー男は、仕方なくネコを連れて帰った。


綺麗なタオルで優しく包み込み、ミルクを口元に持っていくと必死に飲んだ。



「そん時、必死に生きようとしてんだなぁって思った。ちいせぇのに。凄いと思わねぇ?生きる希望を捨てようとしねぇ。人が近づくと鳴く声を大きくさせる。助けてってずっと叫んで、生きたいってずっと願っていて」



……………………。



「俺、動物好きだし」



「なんで、ムーンのこと言ったの?」

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