第59話

「お兄さん?一緒なの?」



「うん」



お母さんに引っ張られ、見えて来たのは黒いワゴン車だった。


車に寄りかかるように立っているのはお母さんのお兄さんだ。


高級ようなスーツ姿でどう見ても仕事中ですっという雰囲気だ。



「おっ。来たな?早く乗れ。荷物はトランク。仕事の洋服でいっぱいだが入るだろ」



ホイッと、荷物を奪ってトランクに入れてくれた。



「凛。何してるの?早く乗りなさい」



「うん」



後部座席には私とお母さん。


運転はもちろんお兄さんだ。



「あいつは、凄いなぁ。占い師かよ」



「私の旦那よ。当たり前」



どういうこと?



「お母さん?何?」



「ん?誠也がね。凛は、途中で帰って来るって言ったの。悟さんも分かってたみたいよ?凛は、まだ私達から離れる時期じゃないからね。1週間も離れられない」



………………………。



そこまで、分かっていたの?



「お母さん」



「ん?」



「眠い」



「あらあら。寝ててもいいよ?疲れたんでしょ?頑張ったね。着いたら起こすから」



「うん」



私はお母さんに寄りかかるようにして目を閉じた。


凄く久しぶりに感じる。


そして凄く落ち着く。


きっと目を覚ましたときには家に着いているだろう。



「おやすみなさい。もう、大丈夫よ」




うん。


おやすみなさい。

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