第58話

なんか、おかしくない?


おかしいよね?


なんで私が帰るからって自分も帰るの?



「地獄の底に落ちてしまえ」



「酷いこと言うよな。お前」



「私に、近付かないで」



私は、パーカー男の横を通り過ぎてエレベーターに乗り込む。


途中、柚月達が何か言いたそうだったが無視だ。


ホテルの入り口付近まで着くと一旦荷物を置いた。


どうやって帰るか。


新幹線に乗って帰るしかないかなぁ。


自力で帰るのも大変ね。


お金と時間がかなりかかるな。



「りーん!!」



……………。


あれ?



「りーん!!」



なんか、お母さんの声が聞こえる。


ついに、幻聴まで聞こえるようになったのか?


今回の研修は辞退すべきだったか。



「りーん!こっちよ」



それにしてもやけにクリアに聞こえるな。


思わず周りをしまうなんて……………………



ん?



あれ?



パタパタとこちらに来る女性は私がよく知っている人に似ている。


というか本人だ。



「凛!もう!何、ボーッとしてるの!?」



「お母さん。どうして秋田に?」



「仕事で来てたの。そしたら、誠也から電話が来たの!凛を迎えに行ってって」



「タイミング良すぎるよ」



「んふふ。でしょ?行こう!車あるから!」



「お母さん、運転できたの?」



「できるけど、私じゃないよ。私の兄よ。今日、仕事で一緒にね?お手伝いをお願いしてるの」

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