第57話

クイッとフードを直すパーカー男。



「今まで、人を遠ざけてたのは面倒くさい。ダルい。厄介な事になる。なら、1人でいいやってな?巻き込まれるのは絶対に避けたい。でもな、やっぱり求めちまうときもある」



……………。



もう、理解不能だ。


話の流れがおかしいもの。



「もう、嫌だ」

「おい!話し中だぞ!」

「黙れ」



なかなか退かないパーカー男を無理矢理押しのけて部屋の中に入った。


部屋の中では隅のほうで丸くなっている白井を発見。



「もう大丈夫よ」



「椎名ちゃん?大丈夫?」



「白井さん。迷惑かけたわね」



「大丈夫。椎名ちゃんが助けてくれたから」



そう。


私は、荷物をまとめてドアに近付く。



「うえっ!椎名ちゃん!」



「私、帰るから。打ち上げ頑張ってね」



「はいぃぃ!?帰るの?というか、帰ることできるの?」



「さようなら」



部屋から出るとまだパーカー男はいた。



柚月達もだ。



「お前、帰るのか?」



「帰る。取引したの。あなたを、どうにかしたら帰っていいって」



「俺も帰る」



「なんで?」



「お前が帰るから」



…………………………。

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