第43話

そういうとパーカー男は私のもパクパクと食べ出した。


あの大食い女より食べてるかも。



「ねぇ?あなた、田中っていうの?」



「んなわけねぇだろ。偽名。何かと便利なんだよ。田中とか鈴木とか佐藤とか」



…………………………。



「気になるのか?俺、言ったよな?俺の居場所に入るなって」



「パーカー男っていうの長いから短くしたいの」



「…………パーカー男?」



「もう、田中でいいかしら?短いし。言いやすい」



「…………」



「意味分からない人で確定してるから。それに、この研修で最後だと思うから。一時だもの。本名なんてどうでもいい。あなたの居場所なんてどうでもいい。ね?田中君?」



いい感じだ。


田中。


言いやすい。



「…………パーカー男でいい。田中はやめてくれ」



「なんで?」



「お前に田中って呼ばれたくない。パーカー男がいい。つーか、お前はパーカー男が合う」



何それ?


意味分からないけど?


めんどくさい男だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る