第38話

デザートの量も凄いのね。


でも、私もちょっとメロンは食べないかも。


そんなことを思っていたときだ。


ポケットに入っている携帯が鳴った。


携帯を取り出して画面を開く。


画面を見るとお父さんからの着信だと分かった。



「はい?」



『どう?』



「…………お葬式のように静か。喰われたみたい。しかも、癖になってるかも」



『本当!?ぶはっ!』



大笑いしているお父さん。


それはいいけど。


仕事に行く時間だよね?



「お父さん。気になるから電話してきたのは分かるけどさ。仕事は?」



笑いが収まってから聞くとヤバイと言って切った。


馬鹿だ。


時間ヤバイのに、電話するから。



「椎名ちゃん。お父さんから?少しだけ聞こえたんだけど。笑う声」



「……………………気にしないで。早く食べたほうがいい。時間に間に合わないよ?」



「あっ!ヤバイ!」



ガツガツと食べ出す。


猛獣のように。



「ムフムフ!ムフムフ!」



多分、食べ終わったから先に戻るね?と言っているんだろう。


凄い早さでレストランから出て行く。


吐かないといいけど。



「お前も早く食えよ」



「きりたんぽ行くのよね?」



「あぁ」



「ならいい」



少ししか食べてないものをワゴンに乗せた。


作ってくれた人には悪いけど。

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