第20話

白井真理亜だっけ?


媚びた目をしていないあの子。


普通に接してくるし。


この学園では珍しいな。





あの子が戻って来たのは7時だった。



「椎名ちゃん!ご飯に行く前にお風呂に入らせて!」



そう言ってお風呂に閉じ籠る。


声だけだったから姿を見ていないが、どうも慌てたような感じがしていたような。


少しすると私服姿でお風呂場から出て来た。



「よし!行こう!」



…………。


手にはペンキがべったりと付着している制服。


…………。


いったい何があったの?



「あなた、イジメられてるの?」



「直球!!椎名ちゃん、直球で聞いてきたね!少しはカーブして欲しいかも。違うよ。友達と看板作ってたの。最終日に打ち上げみたいのやるじゃん?私、それの実行委員長なの!その準備で床に置かれていたペンキを蹴って制服にね?ドバッって!!」



そんなのあった?


知らなかったな。


面倒なものをやるのね。



「楽しみにしててね!とっても楽しい打ち上げにするから!」

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