第11話

…………。


ずっと、このままは嫌だな。


何事もタイミングだよね。


そう思って頭を窓側にやる。


でも、なぜだか元に戻る。



「椎名ちゃん。その人の名前、分かるの?」



「さぁ?」



「やっぱり!その人の名前は「勝手に言うな。人の名前を」」



隣からは、低い声。


起きたの?



「かなりうぜぇ」



怒ってる?



「ぁ………ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」



智子は、涙目になった。


そして、怖いのかゆっくり消えるように座った。



「おはよう。智子を泣かせないでよ」



「うぜぇ」



…………。


柚月に、そんなこと言えるなんて。


凄いじゃない。



「いつから、パーカー着るようになったの?」



「……………重いなら言えよ。嫌なら言えよ」



パーカー男は、私の方を見た。



「寝てたから」



「起こせよ」



「………めんどくさい」



「…………ねみぃ」



「……………腰が痛い」



「つーか、寝れば?」



「右肩が痛い」



「……………ねみぃ」










「君達って、会話にならないよね」



柚月が、あははと笑う。

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