第9話

「ネコさん?起きてくれない?私、足が痺れてきたの」



そんなこと言ってもネコは眠り続ける。


バスの揺れが心地好いのか爆睡みたいだ。


この隣にいるパーカー男と同じように。


飼い主に似るって本当かもね。



「洋一、この本読んで落ち着いてよ。ネコの存在も忘れるんじゃない?」



「あぁ?政治の本?興味ねぇよ」



「でも、何かに集中したほうがいいじゃん?僕、貿易の本読むからぁ」



そう言った雪は、本を読み始めた。


それ、私に渡してきた本なんだけど。



………………。



凄く重い。


我慢するしかないけど暇だ。


ネコの体を撫でるしかないなぁ。


家の人にネコのこと任せられないの?


自分で拾ったネコだから、面倒を見るのも自分なのは分かるけど。



「そういえば名前あったよね?ムーンだっけ?満月の時に拾ったみたいだけど。覚えやすいわね。単純な感じで」



ふわふわの毛並み。


本物のネコはとても手触りがいい。


きっちり、毛並みを整えてるのね?

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