第5話

更に近くなったことで、向かいの席に座る洋一は窓にべったりとくっつく。


バスは、ゆっくりと走り出した。



「そのネコ、フッシーのだったんだねぇ?可愛いね?」



雪は、寝ているネコの体を撫でる。


その撫で方が、厭らしいのは気のせい?



「フッシーって誰?」



「あれ?リンリンは知らないの?」



リンリン?


まさか、私?


馴れ馴れしい。



「リンリンの隣で寝てるのが、フッシーだよ」



あぁ。


このパーカー男?



「意味分かんない不思議君だから、フッシーなんだぁ。本名はなんだっけぇ?洋一!フッシーの本名は?」



「知らねぇよ!!忘れた!今は、それどこじゃねぇし!」



「は~ぁ。動物触れ合いの研修もあるのに大丈夫かなぁ?洋一、しっかりしなよ」



「てめぇは、動物の恐ろしさを知らねぇんだよ!

こいつらは、威嚇してくるんだぞ!!全然可愛くないし!」



ギャァギャァ騒ぐ声に反応したのか、隣のパーカー男がモゾッと動く。


何?


パーカー男は、モゾモゾと鞄から本を2冊取り出し騒いでいる2人に投げつけた。

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