第52話

「そこの旦那について」



柴田の当主に?


まぁ、あっちと獅堂家はあまりよろしくないから。


ある程度の情報は調べてあるけど………………………


こちらとしては、不利になる内容でもないし。



「柴田は、裏とも親密な関係がある。そして最近、新しい人と繋がりを持ったみたい。自分の裏ではない人達と。詳しくは分からないけど」



「その新しい人はどこの?知ってる?」



「関西。関西の大きな暴力団と繋がってる。でも、どこの暴力団なのかは知らない」



「どうやらビンゴだ。ほらっ。学校だよ」



車は、校門の少し前で止まってくれた。



「この学校でしょ?君の制服」



「………当たってる」



「よかった。ねぇ?名前は?」



「なぜ?」



「知りたいから。名前は何?」



………………………………。



「キイ。水無月キイ」



「それ、本名?俺、裏の人間だから調べればすぐにバレるよ」



面倒な男。


なんで、名前を知りたいの?



「裏の人に本名を名乗らないのが基本よ」



「まぁね。調べないよ…………………………そこまで、君に興味ないもん。用が済んだからもういいよ。それから、遅刻しちゃダメだよ。俺みたいな人に拉致られちゃうよ?君、意外と鈍いから。次、会った時は本当に攫っちゃうかも。クスッ」



「…………………さようなら」



車から降りると、真っ直ぐ学校の中に入った。



何………



あの男。

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