第51話

車は、ゆっくりと動き出した。



「ちょっと。降ろしてよ。拉致は犯罪よ」



「無理。犯罪万歳。少し、ドライブでもしようか?君は、いったいどこに所属してるのかな?」



………………………………。




「あなた、気づいてたのね」



「まぁね。さっきの気配の感じ方。それに、その慣れてる雰囲気。レストランの時もそうだった。違和感があったから。君は、敵なのかな?」



「私は、あなたのこと知らない。だから、敵じゃない」



「ふ~ん。確かに、俺のこと知らないみたいだし。信じるよ」



男の目は、相変わらず冷たいままだ。



「聞きたいことがあるんだ。この辺は、華道の家が2つあるでしょ?そのうちに、柴田家知ってる?」



「なぜ?」



「同業者に聞いたほうが、早く終わると思ったから。教えてくれないかな?」



…………………………。



このまま、どこかに連れて行かれるのは非常に危険だ。


どうする?



「柴田家の何が知りたいの?」

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