第50話

男は、私を見つめる。



「学校まで送る?」



「いい。必要ない」



「送るよ」



「だから、必要ない」



この男、嫌だ。


なんだか、裏が強い感じがする。



「近いの?」



「もういい?さようなら」



「ちょっと待って!」



グイッと引っ張られた。



「何?」



「さっきのは何?誰って聞いたよね?それは、どういうことかな?」



「意味はない」



「えっ?」



「もういい?」



「………敏感なんだね。気づいたんでしょ?いや、最初からって感じかな?凄くいいね。その鋭い勘」



「……………………」



「黙らないでよ」



……………………。



「あなた、笑っているのに笑ってない。目は冷たいから。その目は、獲物を仕留めようとしている猛獣」



「じゃぁ、危険な人ってことは分かったんだね?なら、早く逃げないとダメだよ。そこは鈍いみたいだね」



グイッと引きずられ、着いたのは車。


私は、その中に押し込まれた。



「何するの?」



「いいから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る