冷たい瞳

第49話

朝になり、使用人にグチグチ言われながら起こされた。


今日も5時に起こされるなんて………………………


私の部屋に運ばれてきたのは、朝ご飯というものだ。



「お味噌汁です。これなら、軽めなので食べられますよね?」



眠すぎて食べる気失せるよ。


食べ終わるまでいるつもりなのか、部屋から出て行く様子がない。


しょうがない。


ここは、大人しく従うか。


早起きしたので、どうも体が鈍いな。


寝不足だ。


ちゃんと味噌汁を飲み、ノロノロと学校の準備をする。



「いってきます」



「はい。いってらっしゃいませ。前を見て歩いて下さいね。車に注意を」



ちょっとフラッとするが大丈夫だろう。


家から出て、早歩きで学校に向かう。


これは、完全に遅刻だ。


あの使用人が余計なことしたから………………



「あれ?この前の女の子だ」



背後からの気配に違和感を感じて後ろを向くとあのファミレスにいた黒髪の男がいた。


この前の服装と違ってスーツ姿だった。



「やっぱり。後ろ姿に見覚えがあったからさ。遅刻じゃない?もう、9時だけど。優等生って感じだけど、不良ちゃんだった?人は見かけによらないよねぇ。君でよく分かったよ」



「…………誰?あなた」



「ん?ファミレスで会ったじゃん。イチゴのアメあげたよ」



「誰?あなた、誰?」



「………………………何が言いたいのかな?」



急に冷たい目になった。


ほらっ。


この冷たい目だ。


私、知ってる。


この冷たい目は…………………


って、何をしているんだ。


余計なことをしてしまった。


眠さで頭の回転が悪いな。



「あのイチゴ、いらない」



「イチゴ?」



「だから…………………返す」



鞄から取り出したのはイチゴのアメだ。


というか、アメらしきもの。


それを、この男に押し付ける。



「えっ?」



「いらない」



「せっかくあげたのに。凄くおいしいよ?」



「いらないものはいらないの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る