第33話

「誠也は、そういうのしないから。信じられる子しか置かないの。だから、君は誠也にとって特別な子なんだよ。バイトって、すぐに辞めることができるでしょう?でも、君はできないよ」



何を言っているのだろうか。



「凛ちゃんって、無表情だよね?あの野郎、何か考えてるみたいだね。だから、ここで集まり?」



だから、何を言っているの?



「誠也は、人を信じるっていうのに敏感なんだ」



「…………マスターのことですか?」



「うん。名前、知らなかったの?椎名誠也って言うんだよ」



知らなかった。



「皆さんは、マスターの先輩方ですよね?」



「そうだよ。凛ちゃんは、高校生?」



「はい。2年です」



「そっかぁ。青春だ。学校は、楽しい?」



「分かりません」



「…………分からないの?学園祭とかあるでしょ?」



「…………参加したことがないです。学校には、行っていますが」



「…………なるほどね。過保護の親でもいるのかな?」

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