第27話

きっと、昔付き合っていた女のことが忘れられないんだ。


あの人以上じゃないと…………………


あやめの弟でもある藤田恭は千那と違って我が儘ではないが、人を見下すのがとても好きらしく私のことをいつも低く見ている。


とても、性格が悪いということだ。


顔はいいからモテるが女好きではないため本命はちゃんと作る人だ。


千那や兄みたいに遊ぶようなことはしない。



「おはよう。凛ちゃん。久しぶりね?髪伸びて、女の子らしくなったわ。まぁ、傷はしょうがないけど」



あやめさんは、兄の腕に巻きつきながら言った。


女の子らしく?


本当にそう思ってる?


顔にも治りかけの傷があるのに。



「凛も来たところだし。いただきます」



兄の挨拶で、あやめと恭も食べ始める。


この部屋で朝食だなんて……


何年振りかしら?



「なんで…………………この女と食べなきゃいけねぇんだよ。飯が不味くなる」



隣で恭が愚痴るのが聞こえる。



「恭!!ごめんね。隼人さんも、気を悪くしないでね?」



「いいや。恭君にも説明すべきだった」



「いいの。恭に言っても意味ないもの。いつも、凛ちゃんのこと嫌いって言ってるし。言ったら絶対に逃げる」




不味い。

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