マスターの先輩

第26話

朝、使用人に起こされた。



いつもは、こんなことないのに…………………………


朝の5時に起こされるとは思ってなかった。


私を逃がさないためか…………………


逃げるタイミングを失ったか。










「お嬢様。今日の朝食は豆腐とワカメのお味噌汁に鮭の焼き魚。お漬物の少々。あとは、卵焼きになります」



「…………………」



「隼人様に頼まれましたから。しっかり、食べてもらわなくてはなりません!いいですが?朝食はとても大事なのです。朝のエネルギーになるのですから」



使用人のことを半分無視だ。


この使用人はずっと部屋にいる。


5時に起こされたあとずっとだ。


時間が近づくと簡単に身支度をして朝食を食べるための部屋に向かう。


後ろからは使用人。


最後まで一緒にいるつもりらしい。



中に入ると、すでに藤田家の人と兄がいた。


テーブルの上の料理は手を付けられていないままだ。



「やっと来たか。あいつは、逃がさないでくれたらしいな」



「おはようございます。あやめさんと恭君も、元気そうでなによりです」



藤田あやめ。


着物姿で、黒髪の女。


兄のことが好きで、いつも兄に寄り添っている。


そんなあやめも、兄に抱かれた身。


成り行きでそうなっただけなのに、あやめは本気で兄を愛している。


でも、兄にそんな気持ちはない。


あやめも普通に可愛いと思うのに兄はそれ以上を求める。

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