第24話

「千那から聞いた。お前、昼も夜も食べなかったみたいだな?朝も食べてないだろ?使用人も、困っているみたいだ。朝だけでもいいから食べろ。お前、ガリガリだぞ。身体検査の結果を見た。なんだ、あの体重は。拒食症にでもなりたいのか?このままでは、危険だ。」



「はい」



「返事をしても食べないだろ?朝一緒に食べろ。父さんや母さんはいないから、一緒に食べることはない。いいな?」



「無理です」



「なんだと?」



「無理と言いました」



「なぜだ?」



「そんな暇はないという意味です。明日は、朝からいません」



「………………………仕事か?」



「はい」



「それでも、食べろ。7時からだ。藤田の奴らはもういる。いいか?絶対だ。お前、そのままだと死ぬぞ。嫌だろ?飢えて死ぬなんて」



「死というのは、嫌ではありません。裏でそう教わりましたから」



「裏で?教わった?」



「はい。死というのは怖いことではないと。それは、いいことだと教わりました」



「…………俺が、教えてやる。正しいことを。死を自分から求めるのはダメだ。お前は、今自分から求めてるだろ。しっかり、ご飯を食べろ。ダイエットしてるわけでもないのに。貧血になったらどうする?仕事しているときに倒れたらどうする?体調の管理は大事なことだ」

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