「確かに、愛されてないけど。私は、ダメ」

「なんで？」

「人として欠けてる部分がたくさんあるから。手に余るよ」

「だからだよ。欠けてるからいいの。愛情をいっぱい注げることができる。たくさん甘えさせることができる」

「…………………マスターも、大変ね」

「だよねぇ。我が儘な奥さんだから。でも、気持ちは分かるんだ」

「…………」

「今まで、たくさん辛い思いしてきたから。その分、幸せになりたい」

「マスター？」

「…………………凛ちゃんも、本当に考えたほうがいいよ。裏っていう場所のことも、自分の居場所も。いったい、どれが凛ちゃんなんだろうね？」

どれ？

「裏にいるときの姿が本当の凛ちゃんなの？それとも、今、俺とこうやって話してるとき？俺は、今だと思うな。表で生きたいなら、裏から抜けな。まだ、間に合うから。全て染まっていないなら。今の時期しかない」

私は、裏を抜けたいの？

だけど、裏は私にとって…………………

「…………………明日、暇？」

「…………………用事はないけど」

「なら、手伝ってほしいことがあるんだ。凛ちゃんにとっても凄くいいことだよ。社会勉強ということで」

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