第20話

「うん」



「衣替えの季節になるまでには準備したいなぁ」



「何が?」



「凛ちゃんを、養女にするための準備」



「あっ…………赤だ」



キーッと派手な音と共に車は停止した。


よそ見運転は危ないよ。


停止線過ぎちゃった。



「凛ちゃん…………もう少し、早めに言って」



「…………だって、無視するのかと思ったから」



「あんなこと言われたら、無視できないよ。まぁ、ちゃんと見てない俺が悪いけど」



「うん。マスターが悪いよ。夜が遅くても、人が歩いてる時もある。確かに、この道路はあまり人通りは少ないけど。常に安全運転が大事だよ」



「…………うん。そうだね。俺が悪かった…………………あぁ。また、話がおかしくなったじゃん。いつもこうだね」



「なんだっけ?」



「養女。麻矢が、昨日凄く騒いだから。マジで、考えたほうがいいかなって」



「そう」



赤から青になって、車は動き出した。



「赤ちゃんより、成長してる子供がいいんだって」



「なんで、私になるの?子供って言える年齢でもない。ギリギリ小学生くらいじゃない?」



「…………………近くにいたから。両親に愛されていない子が。愛情を感じられない子が」

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